故山崎元さんが語る「癌になってわかったお金と人生の本質」
★山崎元さんについて
今回は、以前にも、ブログやstand.fmで
紹介させていただきました経済評論家の
山崎元さんの著書についてお話しします。
本のタイトルは「癌になってわかったお金と人生の本質」、
朝日新聞出版です。
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残念ながら、山崎さんは2024年に
胃がんが原因で逝去されております。
知的で分析的な鋭い思考を持ち、
歯に衣着せぬ痛快な発言もありながら、
常に温かい視線でお金や投資について語ってくださっていました。
この本は、生前に山崎さんがnoteや雑誌の記事、
未公開音源などを元にまとめたものです。
その山崎さんが本書で「保険」について、
自論を述べられていますので、その内容について紹介します。
★人生をやり直すとしたら保険に入るか
山崎さんは生前から「がん保険はいらない」と
主張されていました。
そんな山崎さんが、がんに罹患したことで、
多くの人から「がん保険」に関する
質問が多数寄せられたらしいのです。
がん患者に向かって、
やはり「がん保険」に入っていたほうがよかったのでは、
といったような質問をする人のマインドを、
私はあまり許容はできませんが、それは一旦脇に置いておきます。
要は、「がん保険は要らない」と
考えていた山崎さんが、癌にかかったことで、
「やはりがん保険に入るべきだった」と考えたかどうかということです。
結論から言いますと、山崎さんは、
その問いに対して、
「もう一度人生をやり直すことができるとしても、
がん保険には入ることはない」と断言しています。

その理由として、日本の公的医療保険制度は充実しており、
高額療養費制度や健康保険組合の給付により、
実際の自己負担額は非常に少額で済むからだとしています。
★実際の治療費と自己負担額
では、実際に山崎さんの
がん治療の費用がどれくらいだったのか気になるところです。
山崎さんは、2022年に食道がんと診断され、
手術・入院を含む治療を受けています。
以下がその費用の概要です。
まず、総医療費が約235万円。
ですが、公的医療保険適用後の
自己負担額は約75万円。
その75万円も、高額療養費制度などの適用により、
最終的に約14万円で済んだといいます。

ただし、保険が適用されない
1泊4万円の個室に40泊したことで、
プラス160万円かかってしまったとも話されています。
仕事に穴を空けないために、
原稿書きやメールのやり取り、
オンライン会議が自由にできる、
しかも消灯時間が自由である空間が必要だったとのことです。
保険が適用される4人部屋なら、
1泊7,000円で済んだといいます。
結果的に、この個室という贅沢費が、
合計で174万円の支出のほとんどを占めたということです。
★もし「がん保険」に加入していたら
では、山崎さんが
「ガン保険」に加入していたらどうだったのでしょうか。
たとえば、「がん保険」の
種類にもよりますけれども、
癌と診断を受けたときに50万円とか100万円
とかいう一時金をもらえるケースがあります。
また、入院1日あたり1万円とか2万円といった費用も支払われます。
ということは、山崎さんが「がん保険」に
加入していたとしたら、
支出した174万円もほぼ保険で賄えたことになります。
このことだけを考えると、
「がん保険」に加入したほうが
いいのではと思ってしまいますよね。
たしかに、保険への加入が「安心感」に
つながるという意見もあります。
こういった意見に対しても、山崎さんは、
「保険一般として、利用の判断基準は、
損だけれども、必要か?であるべき」
「漠然とした『安心』といった
感情によって判断するのではなく、
その必要性を冷静に判断して行うべきだ」
と一刀両断します。
たしかに、174万円の支出は痛かったかもしれません。
しかし、がんの治療はほぼ
公的な医療保険制度と貯金で賄えます。
山崎さんも個室を選ばなければ、
14万円で済んだのです。
「他に代わりうる手段がある」という時点で
「必要のない保険」となるわけです。
追加で、「安心」という漠然とした感情のために、
保険に加入するという必要はないのです。
一方で、自動車保険や火災保険などは、
多くの人にとって他に代わりうる手段を持たない必要な保険です。
山崎さんは、このように感情ではなく
ロジックで判断するべきとおっしゃっているのです。

★がん治療の本当のリスクとは
山崎さんは、「がん保険」は
不要であることが多い一方で、
加入を検討する価値のある保険も存在するとも語っています。
それが、「就業不能保険」です。
山崎さんは、複数の証券会社や保険会社で
重役を務めるなど、華々しい経歴を経て、
最終的にはフリーの経済評論家となられています。
ということは、個人事業主であり、
働けない期間はそのまま損失となります。
たとえ話ではありますが、
山崎さんの年間3000万円の収入があったとすると、
3ヶ月分の機会損失は375万円にもなるとおっしゃっています。
おそらく、実際に山崎さんの年収は
3000万円ほどあったのでしょう。
そう考えると、働けない期間はかなりのリスクになります。
こういった、自営業者や歩合給の仕事を
されている方にとっては、
「就業不能保険」が有効かつ必要な保険となりうるでしょう。
しかしながら、この点については、
公務員や会社員については、公的年金でほぼカバーができます。
最長1年6ヶ月は給与の3分の2程度の
傷病手当金が支払われるのです。
ですので、公務員や会社員にとっては、
この「就業不能保険」すら必要のない保険と
言えるのではないかと思います。
さて、この本の中で、保険のことについてふれているのは、
第二章のみです。
それ以外の章も、
「癌患者と投資初心者は似ている」
「癌になって分かった、どうでもいいことと大切なこと」
「山崎式・終活のセオリー6箇条」
「お金より大事なものにどうやって気づくか」など、
深くて学びの多い内容となっています。
お金のことだけでなく、
人生そのものを見つめ直す機会を
みなさんに提供してくれる本だと思います。

ぜひご一読ください。
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