私たちはどれくらいの税金を納付しているのか

★「可処分所得」とは

FPの頻出問題として、「可処分所得」があります。

聞きなれない専門用語が出てくると、
「もう無理」という気持ちになりますが、
ちょっと頑張ってみましょう。

こういうときは、
言葉を分解して考えると理解しやすくなります。

まず「可処分」という言葉。

私たちが日常で、
「処分」という言葉を使う場合には、
「捨てる」「売り払う」「消滅」させるという意味。

または、規則・規約などを破った者に罰を加えること。

たとえば、
「処分を受ける」
「違反者を厳重に処分する」
「懲戒処分」などに使われがちです。

どちらかというと、
ネガティブな使い方をすることが多いと思います。

ただ、経済や法律、行政的に「処分」とは、
「物や物事の扱いを決める」という意味で使われます

ということからすると、
「可処分所得」とは、
「あなたが自由に使うことが可能な所得」という意味になります。

FPを含めて、経済用語は私たちが
日常的に使う言葉とのギャップが大きいために、
拒否感が強くなりがちです。

でも、あなたが他の人よりも一歩上を行くためには、
ここが「一山超越える」ための頑張りどころです

ということで、
その「可処分所得」について問題の一例を挙げてみます。

★FP2023年1月学科試験 問2

正解 ×

「住居費」は可処分所得から控除しません。

可処分所得とは、収入のうち個人が
自分の意思で使える部分のことです。

可処分所得の金額は、一般に年収から
直接税(所得税・住民税)と社会保険料を控除して求めます。

可処分所得=年収ー直接税(所得税・住民税)ー社会保険料

★いくらくらい税金を支払っているか把握していますか

ここで、聞いてみたいのですが、
みなさんは、年間でどれだけの
直接税と社会保険料を支払っているかご存じですか。

教職員の皆さんは、忙しいので、
給与明細も細かく確認する方は少ないと思います。

★教職15年目中学校教師のAさん40歳の場合

この際ですから、
税金と社会保険のおよその額を考えてみましょう。

モデルとして、40歳で中学校教員のAさんに登場してもらいましょう。

仮想の人物Aさんは、40歳、東京都の中学校教員で独身。

教職15年目です。

仮にAさんの年収が650万円と仮定して計算を進めます。

★直接税の計算

・給与所得控除

Aさんの給与が650万円だからといって、
そのまま税が課されるわけではありません。

給与所得控除は、年収の高い人と、
低い人との税額の調整をするための制度だと考えてください。

計算式は省きますが、Aさんの場合、
給与所得控除110万円、基礎控除48万円を差し引きます。

・課税所得の計算

Aさんの年収650万円から、給与所得控除110万円、
基礎控除48万円の合計158万円を差し引いた額が
「課税所得」、つまり税金を課す所得額となります。

以下の通りです。

課税所得 = 650万円 – 158万円 = 492万円

・所得税の計算

所得税は、国に納める税金です。

なので、「累進課税」で計算されます。

さあ、また出てきました聞きなれない用語「累進課税」。

ここも、言葉を分解して理解してみましょう。

まず、「累進」とは、数量の増加に従い比率が増すことを言います。

なので、「累進課税」とは、
所得や取得した財産が多いほど、
税率も上げますよ、という意味になります。

ということで、2024年時点の税率表に基づいて、
課税所得492万円に対する所得税額を計算します。

計算式は省きますが、Aさんの所得税額は55万6500円になります。

ということで、Aさんは国に対して
約56万円の税金を納めているということになります。

・住民税の計算

これで安心してはいけません。

国に税金を納めて終わりではないのです。

みなさんは、住んでいる自治体にも税金を支払わなくてはなりません。

つまり、市区町村と都道府県です。

市区町村に支払えば、そこから都道府県に
払い込まれるシステムになっています。

住民税は所得に対して一律10%です。

計算式は省きますが、Aさんは、
住民税として約50万7000円を納めなければなりません。

★社会保険料の計算

さあこれで税金はおしまいだと思いますか。

それは甘い!

社会保険料の支払いが残っています。

社会保険料は「税金」ではありません。

しかし、政府や公的機関が管理監督者となって行なっている点。

生活の安定を保障することを目的とした、
強制加入の保険制度である点からしても、
実質的には税金だと考えた方がわかりやすいです。

教職員の社会保険料には、健康保険、
厚生年金などが含まれており、
おおむね以下のような負担割合となります。

健康保険料 約65万円

厚生年金保険料 約59万4750円

合計 124.475万円

★Aさんが年間で支払う税金と社会保険料の合計は約230万円

所得税:55万6500円

住民税:50万7000円

健康保険料:65万円

厚生年金保険料:59万4750円

合計:約230万8250円

約35%を税金と社会保険に納付しているということになります。

「税金110万円くらい」
「社会保険110万円くらい」支払っている、
といった「およそ」でいいので、その額を覚えておいてください。

そして、その額をどうやったら減らすことができるのか。

そのようなことについても考えてみましょう。

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