一生分の応援をもらった初フルマラソン
★意外といけそうだ
初のフルマラソン。
目標はハーフの中間地点。
緊張の中での出場でしたが、
けっこうすんなりというか、
あっという間に10キロ地点を通過できたのです。
目指すハーフまで、残り10キロ少々。
普段なら、10キロ走った時点で、
かなり疲労がきているはずなのですが、
本番特有の高揚感からか、
あまり疲れを感じないままそこを通過できたのです。
その後も、ハーフに向けて残り2、3キロというあたりは、
多少苦しかったものの、何とかそれを乗り越えて、
あれよあれよという間に目標だった
ハーフ地点を通過してしまったのです。
目標地点を超えても、走れるところまで
走ろうと考えていましたので、
そのまま走り続けました。
ここで、ふつふつと欲が出てきます。
もしかしたら、42.195キロを完走できるんじゃないか。
そう思ったのです。
★魔の30キロ地点
とはいうものの、やはり25キロあたりから、
足が思うように動かなくなってきました。
それでも、歩いてしまったら終わりだと、
歯を食いしばって走り続けていました。
しかし、やがて体力は限界に至ります。
30キロをもう少しといったところで、
28キロあたりで走るのを止めました。
そこが私の限界でした。
「魔の30キロ地点」。
ランナーを苦しめる30キロの壁。
多くのランナーが、20キロ台ではいい
ペースで走れていても、30キロを超えた時点で
失速やエネルギー不足により、
走ることがかなりつらくなってくると言われています。
私もご多分に漏れず、
その30キロを前に走れなくなったというわけです。
★天使の声かけ
幸い、走るのは限界でしたが、
まだ歩くことは可能でした。
なので、歩けるところまで歩こうと、
足をひきずりながら前に進んでいたのです。
そんな中、しばらくすると、
「おじさん、がんばれー」という可愛い、
幼い声が聞こえてきました。
多くのランナーがいますので、
みんなに向かって声をかけているんだろうと思っていました。
しかし、なんとなく気になったので、
その声の方向を見てみると、
3歳位の子らしき女の子が、
明らかに私に向かって大声を張り上げているのです。
これほどいるランナーの中で、
なぜ私なのかと思いましたが、
無視するわけにはいかなかったので、
その子に向かって片手を挙げて、走り出したのです。
これだけ応援してもらっているのだから、
走らなくちゃ悪いなと思ったのです。
体は重たいので、きつかたかったのですが、
その子の私への応援は止みません。
なので、その子が見えなくなるまで何とか走り、
声が聞こえなくなったあたりで、
ようやく歩きに切り替えることができました。
で、ほっとしたのも束の間、
今度は明らかにお年寄りであろう声が聞こえてきます。
地元の言葉で、少し聞き取りにくかったのですが、
「にーさん」「ちばれー」とか言っています。
あとで聞いたのですが、
「にーさん、ちばれー」は、
「お兄さん、がんばりなさい」という意味らしいのです。
明らかに、ご高齢であろうその女性は、
私に向かって応援をしているのです。
さっきの女の子もでしたが、
こんなに多くのランナーがいる中で、
なぜ私にと思いました。
今思えば、よほどつらそうに、
へとへとな顔をして歩いていたのでしょう。
今度も、無視するわけにはいかないので、
また手を挙げて合図をし、ゆっくり走り出しました。
先ほどと同様に、体は重かったのですが、
その老人が見えなくなるまでは
ゆっくり走り続けました。
ようやく、老人の姿が見えなくなってきたので、
走るのをやめて歩こうと思いました。
すると、少し体が軽くなっていることに気づきました。
おそらく、5キロ近くは歩いていたと思うのですが、
その間に少しではありますが、体が回復していたのでしょう。
もしかしたら走れるかもしれない。
一抹の希望が湧いてきました。
歩く速さよりも少しだけ
速いくらいの走りではありますが、
再び走り出しました。
この二人の「天使の声かけ」によって、
私は復活したのです。
★一生分の応援
フラフラの状態ではありましたが、
残り7キロほどを走り続けて、
いよいよゴールが間近に迫ってきました。
今年のマラソンは、
ハーフを目指していた私でしたが、
思いもよらず「完走」が見えてきたのです。
とはいえ、ゴールを間近にして、
足も鉛のように重くて、
またまた限界が近づいていました。
そんな中、おそらくボランティアの
高校生たちであろう多くの若者が、
大きな声で「がんばれ〜」「もう少しですよ〜」と、
体を大きく揺らしながら
必死で応援してくれている姿が
私の背中を押してくれました。
形だけの応援ではなくて、
心からの思いが、
私たちランナーに伝わってくる応援でした。
私の人生の中で、これだけ応援されたことない
と思わせてくれるくらいの、
ほんとうに温かい応援でした。
その気持ちにぐっときて、
ウルっとしたことを今も覚えています。
その応援が私にエネルギーを与えてくれて、
残りの道のりを走りきり、ゴールできたのです。
完走したのです。
沿道からの応援がなければ。
幼い女の子がいなければ。
あのご老人に声をかけてもらっていなければ。
そして、心から応援して、
声を張り上げてくれるあの高校生たちがいなければ。
ゴールできていなかったはずなのです。
明らかに、私がもっている以上の力が、
周りの方々からの応援によって
引き出されてのゴールだったのです。
★動けない
しかし、ゴールした後は、
感動しながらも、疲労困憊で動けない
というなんとも説明しがたい状況でした。
なんとかホテルに着いた後も、
シャワーすらやっとで、食欲もないので、
おにぎりだけをほおばり、その日は就寝。
翌日は全身の筋肉が痛みを発し、
一週間ほど歩くことすら苦痛でした。
正直、翌年の「還暦記念マラソン」の準備として
出場したフルマラソンでしたが、
このつらさをまた経験するかと思うと、
躊躇し迷っている自分がいました。
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