異動レバレッジ
★人が変わる方法
経営コンサルタントとして著名な大前研一氏
(若い方はあまり知らないかもしれません)が、
ある番組で人が変わる方法は3つしかない、とおっしゃっていました。
1つめは「住む場所を変える」、
2つめは「付き合う人を変える」、
3つめは「時間配分を変える」です。
教職員にとって、
3の「時間配分を変える」というのは
仕事上の特性から難しい。
ですが、1「住む場所を変える」
2「付き合う人を変える」の
2つは、異動のたびに経験できます。
異動になれば、
当然ながら勤務校が変わります。
勤務校が変われば、関わる人が変わります。
職場の雰囲気や文化は、
勤務校ごとに違いますので、
大げさに言えば「カルチャーショック」を受けることすらあります。
今まで普通だと思っていたことが
そうでなかったり、
当たり前だと思っていた価値観を
ひっくり返されたり、
といったことが起こります。
いいショックもあれば、
良くないショックもあるでしょう。
所属している人たちの中には、
今まで会ったことのないタイプの方がいたりします。
プラスの影響をいただけることもあれば、
対応に苦慮し、
悩んでしまうこともあるかと思います。
しかし、どのようなショックも、
そのとらえ方さえポジティブであれば、
プラスに転換できます。
これが私の考える「異動レバレッジ」です。
この異動もレバレッジを
効かせられれば、大きく成長できます。
教師としてのあなたの力量を、
爆速で高める「レバレッジ(てこ)」となるのです。
★研究伝統校への異動
公立の教職員異動の周期については、
自治体によって違いがあって、
短期だと3〜5年、長期だと6〜10年ごとに勤務校の異動があるようです。
形式的な場合もありますが、
一応、どの自治体でも
「異動希望調書」の提出ができると思います。
「異動レバレッジ」を効かせたいなら、
いわゆる「研究伝統校」に
希望することをおすすめします。
「研究伝統校」とは、
つねに高い目標をもって
授業研究を行う伝統をもつ学校。
または、自治体が教育の質を高めるため、
実験校的な役割を与えている「パイロット校」。
無難な学校を希望するのではなく、
こういった学校への異動を希望するのです。
何でわざわざそんな忙しい学校に、
と思われる方もいらっしゃるでしょう。
でも、かなり「レバレッジ」が効くのです。
つねに高い目標をもって、
仕事をしなければならない
環境におかれることで、負荷がかかります。
何度も言及していますが、
筋トレは負荷をかけることで、筋力をアップさせます。
人の成長にも「負荷」は必要です。
それによって、自分の中に内在していた
新たな力が発揮され、成長へつながるのです。
そして、こういった学校には、
おのずと力のある先生が集まってきます。
向上心があり、つねに自分磨きのために
努力する教師との出会いは、
自分の仕事に対する向き合い方を見直すきっかけになります。
そういった仲間と切磋琢磨できる環境は、
こうした学校ならではのものであり、
成長のレバレッジははかりしれません。
★2人の教師の明と暗
異動が教師人生に与える影響について、
2つの事例を紹介します。
1つ目は、以前にも紹介したお話しです。
私が指導主事のころ、
ある中学校で初任者であるにもかかわらず、
ベテラン並みの素晴らしい授業をする先生がいました。
子どもたちに安心感をもたせるやわらかい表情。
子どもたちの正当論を揺さぶる洗練された発問。
1年目だとは思えないその風格と
将来性に、妬みすら感じたのです。
ところが、その先生の授業を
10年ぶりに参観させていただいた時に
ショックを受けました。
生徒がどんよりとするような、
単調なものになってしまっていました。
あまり研究に熱の入らない学校で、
刺激のない10年間を過ごした結果でしょう。
2人目は、思いもかけず
「研究パイロット校」に異動になった先生の事例です。
中学校英語の先生、仮にAさんとします。
彼女は、2校を経験し教職10年で異動となりました。
異動先は、県内でも有名な「パイロット校」。
まったく希望していなかっただけに、
ショックは大きかったといいます。
当初、「異動変更願」の提出も考えたそうです。
しかし、こうした申し出が、
将来的に不利になることもあるのでは
と不安になり、異動を受け入れたとのこと。
異動先の「パイロット校」は噂通りの激務。
月1回ペースの研究授業。
教育熱心な保護者の期待からくるプレッシャー。
仕事に対して妥協を許さず、
向上心の塊のような同僚たち。
最初の1年は、苦しいだけで、
異動してきたことを後悔していたそうです。
しかし、2年目あたりから
その苦しさがやりがいに転じ始め、
3年目、4年目あたりには、
学校を代表して授業するほどの力がついてきたのです。
その後、Aさんは、その県で
「英語アンバサダー教師」に任命されるほどの
教師に成長したのです。
Aさんは、「あの学校での5年間がすべて」と振り返っています。
いかがでしょうか。
どのような組織で過ごしたかは、
これほど大きいのです。
異動の希望が、
100%叶うということはありませんが、
少なくともトライしてもらいたいのです。
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