老老相続〜人生100年時代がもたらす相続の問題点〜

★老老相続がもたらす問題点

日本は超高齢社会を迎えています。

その日本において、問題になっているのが「老老相続」です。

老老相続とは、親も子も高齢になってから資産が引き継がれる構造です。

例えば、親が90代だとします。

その場合、おそらく子はすでに60代〜70代でしょう。

つまり、子が高齢になった頃に、資産を引き継ぐことになるのです。

高齢になってから資産を引き継いでも、子は資産を増やせません。

むしろ相続税の対応に追われます。

子が資産を必要とするタイミングと、資産を進める活力のある年代への資産の継承がうまくいっていない状態。

かつての相続は、働き盛りの子世代へ資産が移転するのが一般的でした。

しかし、平均寿命が伸びるに伴い、相続の発生時期そのものが大幅に高年齢化しているのです。

これが、「老老相続」の問題です。

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この老老相続は、単なる「相続人の年齢が上がった」という個人的な問題にとどまりません。

まず、親・子双方の高齢化に起因するさまざまな実務上のトラブルが生じます。

加えて、社会全体における

「資産流動化の停滞」

「若年層・現役世代の資産形成の阻害」

という構造的問題を引き起こしているのです。

今回は、老老相続がもたらす具体的な問題点と、なぜそれが次世代の資産形成を阻害してしまうのかについて詳しく解説します。

★子が資産が必要な時期に資産が受け継がれない

老老相続における最大の懸念点は、被相続人(親)だけでなく、相続人(子)の側も高齢化している点です。

まず、親が80代、90代になると、認知症のリスクが高まります。

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認知症になると、一切の法的・経済的行為ができなくなります。

例えば、遺言書の作成、生前贈与、家族信託の契約、あるいは実家不動産の売却や活用などです。

実質的に、親の資産が「凍結」された状態になるのです。

場合によっては、介護費用や施設入居費用を、子が負担しなければならなくなったりもします。

老老相続の場合、相続人である子も高齢ですから、相続時に病気を患っていたり、すでに認知症を発症している場合もあります。

相続人の中に一人でも意思能力のない人がいると、遺産分割協議を行うことができません。

その場合、成年後見人の選任が必要となり、手続きに膨大な時間とコストがかかります。

柔軟な財産分けや節税対策が一切行えなくなるという事態に陥ります。

しかしながら、これらの問題は、老老相続がもたらす一側面でしかありません。

最も深刻な問題は、

「資産が必要な時期に資産が手元に入らない」

という点です。

★子世代は資産運用の黄金期を逃してしまっている

人生において、最も資金を必要とするのは30代〜50代です。

例えば、住宅購入、子どもの教育費、独立・起業資金などです。

しかし、老老相続の場合、親が亡くなるのは、子世代が60代から70代にかけてです。

この時期には、教育費用や住宅ローンはピークを越えています。

老老相続により、本来最も資金を必要としていた「30代〜40代」のタイミングで親の資産を活用することができないのです。

現在、日本では、新NISA、iDeCo、ふるさと納税などにより、投資環境は整ってきています。

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それによって、若年層の投資意識も高くなってきています。

しかし、若者たちの生活環境は厳しいのです。

給与水準は伸びが緩慢で、収入だけでは生活費や教育費の捻出が精一杯です。

つまり、十分な投資余力を確保できていないのです。

もし、親世代が保有する豊富な個人金融資産を活用できれば、それを元手に資産運用を展開することができるでしょう。

30代〜50代から資産形成が始められれば、長期投資により複利効果を最大限活かすことができます。

新たな事業を起こしたり、リスクを取った投資も可能でしょう。

ところが、現状の老老相続においては、子世代は資産運用の黄金期を逃してしまっているのです。

★適切なタイミングで次世代へ資産を循環させる方法

では、この老老相続の課題をいかに克服すればいいのでしょうか。

以下にいくつか示しておきます。

まず、住宅取得資金や教育資金贈与の活用です。

親が健康なうちに、孫世代の教育資金や子世代の住宅取得資金として「早い段階で」財産を移転させるのです。

住宅取得等資金贈与や教育資金一括贈与についてしっかり調べて活用してください。

二つ目に、家族信託や公正証書遺言の活用です。

親の判断能力が低下しても、子が実家や預貯金の管理・処分を行える仕組みを事前に作っておくことができます。

親がまだ判断能力にあるうちから、資産の継承について話し合うきっかけにもなります。

三つめが、暦年贈与・相続時精算課税制度などの活用です。

早期の資産移転を後押しする制度としては、この二つは最強です。

ぜひ、これらの制度について調べていただき、親世代から子世代へのスムーズな資産承継を進めてください。

老老相続は、単なる「家庭内の手続き」の領域を超えて、日本の家計における資産形成や経済の活性化を阻む構造的な壁となっています。

「亡くなったあとに遺産をどう分けるか」

という従来の相続観から脱却し、

「親が健康なうちに、いかに適切なタイミングで次世代へ資産を循環させるか」

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という生前からの資産承継プランニングが、これからの時代に求められています。

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