「うちは関係ない」が一番危険!10人に1人が相続税を払う時代へ
★あなたも相続税の課税対象者かも
「相続税なんて、お金持ちだけの話でしょう。」
そう考えている方は少なくありません。
しかし、その認識は甘い。
この十数年、日本の相続税制度は大きく変わりました。
そして、その改正の多くは
「相続税の対象者を増やす方向」
で進められてきています。

国は相続税による税収を増やしたのです。
なので、以前なら相続税がかからなかった家庭でも、今では課税対象になるケースが増えています。
つまり、あなたも相続税の課税対象者になっているかもしれないのです。
最も大きな改正は、2015年(平成27年)の相続税法改正です。
それまで相続税の基礎控除は、
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
でした。
例えば相続人が配偶者と子ども2人なら、
5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円
8,000万円までは相続税はかからなかったのです。
ところが現在は、
3,000万円+600万円×法定相続人の数
へと大幅に引き下げられています。
同じ家族構成では、
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
となり、非課税枠は実に3,200万円も縮小しました。
この改正によって、多くの方が相続税の課税対象者になってしまったのです。
★「10人に1人が相続税の課税対象者」の衝撃
実際、亡くなった方のうち相続税を納める割合は、改正前のおよそ4%台から現在では9%前後まで上昇しています。※2026年現在
実に、10人に1人が相続税の課税対象者なのです。

ということで、知らないうちにあなたも相続税の課税対象になっている可能性があります。
例えば、あなたのご両親の家と土地、どれくらいの価値になっているか考えたことはありますか。
都市部、地方でも中心地に近いのなら心配です。
近年は都市部を中心に不動産価格が上昇しています。
「購入した時は2,000万円だった家が、評価額では5,000万円近くになっていた。」
このようなケースも珍しくありません。
相続税は取得価格ではなく、相続時点の評価額で計算されます。
現金収入が増えたわけではないのに、相続税だけが高くなるという現象が起きているのです。
また、自宅以外に賃貸住宅や土地を所有している方も注意が必要です。
★「亡くなる7年以内の贈与は無効」の衝撃
かつて相続税対策の王道といえば、生前贈与でした。
毎年110万円以内であれば贈与税がかからない暦年贈与。
この制度を利用し、長年かけて財産を移していく方法です。
ところが、この制度も大きく変わりました。
2024年から制度が改正され、持ち戻し期間は段階的に7年間へ延長されています。
つまり、2024年以降の贈与については、亡くなる7年以内の贈与は
「無効」
となるのです。
7年以内の贈与はなかったものとみなされて、相続税の対象とされます。
以前は、亡くなる3年以内の贈与のみが「無効」だったのです。
4年も長くなってしまっています。

ご両親がご健在のうちに、早めに相続税対策をした方がいいという理由がここにあります。
★今後も対象者は増えていく模様
他にも法改正が議論されています。
具体的な改正内容はまだ決まっていないものの、方向性は一貫しています。
まず、
「生前贈与と相続税の公平性を高める」
という方向性です。
「生きているうちに財産を渡しても、亡くなってから渡しても、税金があまり変わらないようにしたい」
という意味だと考えてください。
例えば、父親が1,000万円を子どもに渡すケースを考えてみます。
ある方は、亡くなった後に相続したので、1,000万円が相続税の課税の対象になりました。
別の方は、亡くなる10年前から毎年100万円ずつ贈与したので相続税の課税対象になりませんでした。
つまり、同じ1,000万円を子どもに渡しただけなのに、一方では課税対象になり、他方では対象になりません。
政府はこれを
「不公平ではないか」

と考えているということです。
そのため、持ち戻し期間を3から7年へ延長したのです。
また、詳しくは説明しませんが、相続時精算課税制度も見直され、早めの贈与をしやすくしました。
つまり、
「生前贈与でも、相続でも、最終的な税負担はできるだけ同じにしたい」
これが「公平性を高める」という意味です。
あと、
「資産移転に対する課税の中立性を高める」
とはどういう意味なのでしょうか。
こちらはもっと難しい表現ですが、
「税金の違いによって財産の渡し方を決めさせたくない」
という意味です。
例えば、「子どもが起業するので、援助してあげよう」
と思っていても、
「相続税より贈与税の方がはるかに高いから、亡くなるまで待とう」
と贈与を先送りするケースがあります。
一方で、
「贈与税は110万円まで非課税だから、子の生活支援として毎年110万円ずつ贈与しよう」
という人もいます。
つまり、税額によって資金移動の意志が制御されてしまっているのです。
政府は、財産をいつ渡すかは家族の事情で決めるべきであり、税金の差で決まるべきではない、
という考え方をしています。
これを
「課税の中立性」
と呼びます。
今後も相続税や贈与税に関する制度変更が行われる可能性は十分考えられます。
つまり、「今はまだ大丈夫」と考えて先送りするほど、対策の選択肢は少なくなる可能性があるのです。
ということで、次回も早めの相続税対策が必要な理由についてお話します。
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