学校は「能力開発」の場~子どもは「大化け」する~

★学校の存在意義とは

「学校って何のために行くの?」

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教師なら、子どもたちから、または保護者の方からこのような質問を受けることがあると思います。

親だって一度は子供から似たようなことを聞かれたことはあるはずです。

もちろん、「知識を得るため」とか、「友達をつくるため」とかいろんな答えがあるでしょう。

どれも間違いではありません。

しかし、私はこう答えています。

「学校は、自分でも気付いていない能力を開発する場所」

極端な話をすれば、社会で生活するだけなら、「読み」「書き」「計算」さえできれば困ることはありません。

それですら、最近では、大半のことをスマートフォンがやってくれます。

読み上げ機能。

音声入力。

自動計算。

AIの力も加わって、すべての人が万能なアシスタントを雇えるようになったのです。

では、学校の存在意義はなんなのでしょうか。

★苦手なこともさせるのが学校の役割

心理学者ハワード・ガードナーは、

「人間の知能は一つではない」

とする「多重知能理論」を提唱しています。

言葉を使う力。

数字に強い力。

音楽の才能。

運動能力。

人と関わる力。

自然を観察する力。

自分を見つめる力。

人にはさまざまな能力があります。

しかし、学生の間は、将来どの分野の能力が開花するのかまだわからないわけです。

なので、学校では苦手なことにもチャレンジさせるのです。

運動が苦手でも体育で跳び箱、逆上がりをさせます。

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人前で話すのが苦手でも発表をさせます。

作文が嫌いでも文章を書かせます。

いやだ、苦手だからといって、「やらない」という選択はさせません。

将来、子どもの持つどの分野の能力が伸びるのか未知だからです。

とはいえ、いやなことや苦手なことをさせられたことが、トラウマになっているという方も多いと思います。

これはできるだけ避けたいところです。

だからこそ教師は、指導力を高めなければならないのです。

ここでいう指導力とは、

「生徒にさせなければならないこと」

を、

「生徒がやりたいこと」

に転換してあげられる力です。

簡単ではないですけどね。

★小さな成功体験が人を成長させる

心理学者レフ・ヴィゴツキーは、

「一人ではできないことでも、周りの支援があればできる課題に挑戦すると、人は最も成長する」

と言っています。

これを「最近接領域」と言います。

学校には先生がいます。

友達がいます。

励ましてくれる仲間がいます。

だからこそ、一人では越えられない壁を越える経験ができるのです。

そして、この「少し難しいことへの挑戦」が、人の能力を大きく成長させるのです。

誰かに支えられながら達成した、「小さな成功体験」が人を成長させるのです。

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キャリア形成研究では、成功する人ほど若い頃に多様な経験を積んでいることが知られています。

心理学者ジョン・クランボルツは、キャリア形成において、

「計画された偶発性(Planned Happenstance)」

という理論を提唱しています。

簡単に言うと、人生は計画通りではなく、偶然の出会いや経験によって大きく変わる

という考え方です。

例えば、家庭科で住宅模型を作った経験が、なんとなく建築への興味につながっていた。

好きでもなかった理科の実験が、大学で好きになり研究職への入口になった。

などです。

あと、教育学では、学習の転移(Transfer of Learning)という概念があります。

ある場面で学んだことが、別の場面で活用される現象です。

例えば、ピアノ練習で身についた集中力、継続力、パターン認識
が、受験勉強や仕事に生かされる。

サッカーで培った判断力、状況把握能力が経営判断に役立つ。

こうした転移は多くの研究で確認されています。

つまり、学校は、「将来何になるか分からない子ども」に対して、多くの可能性を用意してくれている場所なのです。

もし小学生の頃から「将来役に立つ教科だけ」に絞ってしまったら、まだ芽を出していない能力は育つ機会を失ってしまいます。

★子どもは「大化け」する

保護者の皆さんは、どうしてもテストの点数や通知表が気になるかもしれません。

もちろん、その時点で目に見えている子どもの能力を育てることも大事です。

しかし、今のお子さんの姿だけで、将来の可能性を判断してしまうのは間違っています。

子どもは、ある日突然、大きく成長します。

化けるのです。

本が嫌いだった子が文学者になる。

人前で話せなかった子が、タレントになる。

運動が苦手だった子がオリンピックに出場する。

教員時代、私はそのような「大転換」「大化け」を何度も見てきました。

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保護者の皆さんもそんな経験があるはずです。

そこまで冴えなかった同級生が、大きくなって会社の社長になっていたり、歌手になったりといった「大転換」を。

だからこそ、大人は子どもの「今」だけで可能性を決めつけてはいけないのです。

お子さんの中には、まだ自分でも知らない能力が眠っています。

学校は、その能力を目覚めさせるきっかけをつくる「能力開発」の場所だと考えればいいのです。

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