コラム~保護者とのトラブルの問題解決において教育委員会を味方につけるには~
まず頼るべきは教育委員会
前回は、 モンスターペアレンツのお話をしました。
現状としては、 モンスターペアレンツ から
先生方を守るための法整備はされていないこともお伝えしました。
モンスターペアレンツの問題は、教育界 だけではありません。
現在、他業種でも カスタマー ハラスメント、
いわゆる カスハラが 問題になっており、
これについては東京都が2024年10月、
全国初のカスハラ条例を作成しています。
しかし、 モンスターペアレンツについては、
全国的にも条例が制定された自治体はなく、
今後の法整備について期待するしかありません。
では、こういった法整備が
整っていない中において、
学校はだれに頼れば良いのでしょうか。
それは、やはり教育委員会でしょう。
学校の設置者は教育委員会だからです。
ですので、教育委員会は、
学校から相談があれば、
協働して問題解決に当たる必要があるのです。
ただ、教育委員会との連携については、
ある程度戦略が必要です。
なぜかといいますと、
教育委員会が苦情を言ってくる
保護者の術中にはまってしまうと、問題解決が難しくなるからです。
では、「保護者の術中にはまる」とは、
どのようなことなのでしょうか。
教育委員会が保護者の「術中」にはまってしまうとは
「保護者の術中にはまる」とは、
教育委員会が、保護者の訴えに
納得してしまい、保護者の側に立ってしまうことです。
そんなことってあるの?って思いますよね。
あるんです。
たとえば、教育委員会が、
学校より先に、
保護者から話を聞いてしまった場合です。
学校に対して不満をもった保護者が、
教育委員会に対し、学校から受けた対応について、
その状況を訴えたとします。
学校に対して不満をもつ保護者は、
ご自分がいかに被害者なのか
ということを饒舌に、しかも説得力のある論理で話してきます。
こういった方々は、
共通して相手を自分の味方に引き込む話術に長けています。
ある意味、自分の子を守るために必死でもあるのです。
そうなると、教育委員会の職員や指導主事は、
簡単にその術中にはまってしまい、
学校の不適切な対応に憤りを感じてくるのです。
つまり、保護者に共感してしまい、
寄り添ってしまうということになるのです。
信じられないかもしれませんが、
実際にそうなるのです。
教育委員会の職員や指導主事は、
こうしたクレーム対応の専門的な
トレーニングを受けているわけではないので、ほぼ素人です。
実は私もそうでした。
指導主事として教育委員会で、何度も保護者からの苦情や要望を聞きました。
聞けば聞くほど、
学校の対応の稚拙さに対して腹が立ってくるのです。
洗脳に近いですね。
洗脳は言い過ぎかもしれませんが、だれしも似た状況になります。
これを「初期情報バイアス」
「アンカリング効果」などと呼んでいます。
人は最初に得た情報に強く影響され、
その後の判断や行動に大きな影響を
与える傾向があることは研究でもわかっています。
「初期情報バイアス」「アンカリング効果」を活用する
教育委員会が、「初期情報バイアス」
「アンカリング効果」により、
保護者の術中にはまってしまっては手遅れになります。
ということは、保護者より先に、
学校から情報を提供すればいいのです。
まず、学校は保護者から苦情や要望等が
あった場合は、すぐに教育委員会に情報提供します。
内容としては、保護者からの苦情や要求の内容、
そのことに対して学校が
どのような対応策を考えているかを伝えます。
教育委員会は、学校からこうした情報を
事前に得られていれば、
たとえ保護者からの訴えがあったとしても、冷静に対処することができます。
学校側からの情報も頭において話を
聞くことができるので、
保護者側のみに立脚することがありません。
つまり、学校が先に
「初期情報バイアス」
「アンカリング効果」を活用するということです。
教育委員会を巻き込む
学校側から教育委員会への
「初期情報バイアス」
「アンカリング効果」を発動できたら、
初期対応としてはまずまずです。
ただ、教育委員会を味方につけるには、あといくつかのステージを踏む必要があります。
そのステージとは、学校の考えている
対応策について「助言を求める」ということです。
教育委員会は学校から
助言を求められれば、それに応える必要があります。
そして、その助言を対応策に加味して、
保護者からの苦情や要求に対応していきます。
そして、その対応の進捗状況を
まずは定期的に保護者に伝えます。
保護者は、待たされることに苦痛を感じます。
学校がどのように対応し、
現在、どのような状況なのかが早く知りたいのです。
「まだ調査中です。しばらくお待ちください」
「少し時間がかかっています。申し訳ありません」
「ようやく、何人かの生徒から話が聞けました」
こうした学校の対応の進み具合を、
できるだけ頻繁に伝えるのです。
学校の「一所懸命感」を、
保護者にアピールする意味で、
そして、保護者の訴えを重視している
という「特別感」をもってもらう意味でも効果的です。
そして、そのことを定期的に
教育委員会にも伝えていきます。
保護者も、教育委員会が学校の対応状況を
把握していることを知ると、
攻撃的だった感情は次第におさまっていきます。
この時点でもう、教育委員会は学校と一蓮托生となっています。
ともに保護者に
対応している状況になりますので、
連帯責任になります。
学校だけが孤立して対応するのではなく、
教育委員会を巻き込んで、ともに対応するのです。
こうした対応をていねいに進めていくと、
たとえ完璧な問題解決に
至らなかったとしても、ソフトランディングできるのです。
以下に、保護者対応について、
学校が教育委員会と連携する上で、すべき流れをまとめます。
対応が少し大げさすぎないかと
思われるかもしれませんが、事態が深刻化し、
その対応に追われることに比べると、大した労力ではありません。
学校を守るための法整備が進んでいない状況では、
たとえ姑息だと言われようが、
学校、教師はこうした身を守る術を身に付けるしかないのです。
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