ほろ苦い不動産投資デビュー
根気づよく不動産業者を回る
株式投資については、
個別株投資に向いていないことを悟った私は、
最終的に投資信託に積み立てることを決めました。
これは、毎月指定口座から
一定額を引き落としてくれる、
ほったらかし投資ですから楽でした。
ただ、私の場合、投資活動が遅かっただけに、
投資信託だけでは、
セカンドキャリアに向けては不安でした。
ですので、
次は不動産投資に着手することにしました。
株式投資もそうですが、
不動産投資にしても相談相手がいません。
職員室で
「誰か不動産投資をしている人はいますか?」
なんて聞けるはずはありません。
なので、自分で考えるしかありません。
まず、不動産投資にかかわる本を読み、
ネットで調べ、新聞広告やネットで中古物件を探しました。
不動産業者にも直接足を運んで、
収益物件の購入を考えている旨を伝えました。
しかしながら、業者も、顧客の可能性を見て判断します。
すでに何件か物件を持っていたり、
キャッシュで購入できるなどの
資産を持っていたりでなければ、なかなか相手にしてくれないのです。
それでも、くじけそうになる気持ちを
抑えながら、根気強く不動産屋を回り、
物件探しを続けていました。
今ならそんな無駄なことは
しないのですが、
何をしていいのかわからなかったので、
動くしかなかったのです。
不動産業者からの一本の電話
するとある日、
ある不動産業者から、電話が来たのです。
安い土地があるから、
そこで土地を購入しアパートを建てないかとの話でした。
土地を購入して、
アパートを建てることは
考えていなかったので迷いましたが、
迷っていてもらちがあかないので、
そうすることに決めました。
しかし、いくつか懸念がありました。
その土地は、ある意味、
微妙なエリアにあったのです。
簡単に言うと、田舎だったのです。
過疎というほどの田舎ではないにしても、人口も多くはありません。
駅やバス停からも遠いので、
入居者はどうしても
自家用車などの移動手段が必要です。
とはいえ、
「せっかく不動産業者から紹介してもらったんだから」
という理由だけで、土地の購入を決めました。
次のハードルは銀行ですが、
私が公立学校の教師であるという時点で、
すぐに融資OKがでました。
銀行にとって公務員である
公立学校の教職員は、
真面目で誠実な人が多く、
ほぼ確実に返済してくれるので優良な顧客なのだそうです。
つまり属性がいいのです。
あらためて、教師という仕事に
就いたことを幸運だと思いました。
入居者なし
さて、アパートの設計、
建築会社の選定等、
約1年かかってアパートは完成しました。
しかし、心から完成を喜べませんでした。
アパートの完成前から
入居者の募集を始めていましたが、
一向に入居者が決まらないのです。
それでも、完成して本格的に
募集を行えば入居者が入るだろうと考えていました。
ところが、
アパートが完成しても
一向に入居者が決まりません。
2LDKの6室。
その一室も決まらないのです。
焦りました。
銀行への返済は、
アパートの完成から3か月後ほどで
始まることになっていましたので、戦々恐々です。
内見者はいるものの、なかなか決まりません。
やはり、田舎であったため、
入居者の需要が少なかったのです。
そのうち3か月が過ぎ、
それでも入居者は一室も決まらず、
銀行への返済が始まってしまいました。
収入は無いのに、返済が始まる。
恐ろしい話です。
いわゆる手出しです。
貯金も潤沢にあるわけではありません。
そのような状況で、
月々30万円以上の支払いが発生するので、
キャッシュがどんどん減っていくわけです。
不安というレベルを超えて、
警察に追われる犯人のような心境になりました。(追われたことはありませんが・・)
悪夢に襲われ、夜中に何度も目が覚めることすらありました。
なぜか本業はうまくいく
読者の皆さんからすると、
その間、本業である教師の仕事は
どうだったんだと思いますよね。
不思議なことに、
本業の教員としての仕事は、
今まで以上にうまくいっていたのです。
その頃、教務主任をやっていましたので、
毎日忙しく、年休を取ることすらできませんでした。
そのような中での、不動産投資の苦境。
仕事に手がつかなくなるであろうと、
予想するのは当然です。
ただ、不思議なことに、
仕事の精度は高まっていたのです。
効率的に事務を処理できましたし、
校長先生がめざす学校づくりに向けて、
私の方からいくつもの改革案を提案するなど、
かなり創造的な仕事ができていました。
今まで以上に充実した仕事ぶりです。
やることなすことうまくいくのです。
何か、ゾーンに入ったかのような状況でした。
説明は難しいのですが、
今思うと、不動産投資がうまくいかない状況で
苦悩する状況が、
私の中の新たな能力を
引き出してくれたとしか言いようがありません。
または、不動産投資においては無能でも、
本業では有能なんだと
自分に言い聞かせたくて、無意識に仕事に逃避していたのかもしれません。
何はともあれ、そのころの私は本業に救われていたのです。
2年がかりで「満室」・・苦境からの脱出
さて、6か月間全く空室が
埋まらなかったアパートも、
ようやく1室が埋まり、
そして2つ目が決まったあたりから、
次々と入居者が決まっていきました。
それでも満室になるまでに、2年近くかかりました。
だいぶ時間はかかったものの、
満室になったことで、
その家賃収入をすべて投資信託に
積み立てることができ、資産が急速に増えていきました。
そして、その資産を元手に、
さらに収益物件を増やしていったのです。
くわえて、その田舎はその後、
少しずつ開発が進み、
人口も増えてきているということをお伝えしておきます。
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