役職定年の光と影

「定年退職」ではなく「普通退職」の理由

私は、2024年3月、32年の教員生活を終え「普通退職」をしました。

ここで、わざわざ「普通退職」という表現をしたのは、
この年から定年が61歳に引き上げられたため、
60歳で退職した私は定年退職とはならず「普通退職」となったからです。

「中途退職」と同じ扱いなんですよ。

これから5年間かけて、
定年退職の年齢は最終的には65歳まで引き上げられていきます。

「役職定年」のトリック

「定年退職が伸びたぞ!ラッキー」なんて浮かれていてはいけません。

この裏には、「役職定年」というトリックが隠されています。

「役職定年」とは、もしあなたが60歳の時点で、校長または副校長、
教頭という管理職の役職でも、その後はその「役職」が外れるということです。

つまり管理職を勤めた方でも、継続雇用で60歳から65歳までは、
管理職の肩書はなくなり、一般教諭、一般職員として働くことになるわけです。

雇用が継続されるならいいじゃん、と思われている方もいるかもしれません。

それに、役職を降りられるとことで、大きな責任から解放され、心理的に楽になる。

そう考える方もいるでしょう。

その気持ちもわかります。

ただ、問題は、給料が約3割減となることです。

初任の頃の収入に戻る感じです。

つまり役職定年とは、本当は辞めてもらいたいけど、
年金が支払われる65歳までは、
我慢して雇ってあげてね、ということなんです。

救済措置ということです。

微妙な立ち位置

まあ、それでも、給料があるだけならまだいい。

そう思われるかもしれません。

しかし、組織の第一戦から外れることになりますので、
やりがいという意味では微妙なんです。

体力的にも、例えると、
監督だった方がプレーヤーになるのですから、
思うようには動けないはずです。

また、職員との関係性にも、微妙な距離が生じてきます。

元管理職だった方が、チームの一員として、
仲間として受け入れてもらえるでしょうか。

「うまくやってるよ」、元同僚の方々からは、
そういう言葉が聞こえてきます。

なので、ほとんどの方はうまくやっているとは思います。

しかしそれは、職員が適切な距離感を保って、
付き合ってくれているからだと、私は思っています。

もし、元管理職といったような雰囲気を醸し出してしまったり、
話し合いや会議等で積極的な発言をすることがあったりすると、
その空気感は変わってくるはずです。

あくまで「特別な立場の人」なんです。

チームのメンバーとはいえない立ち位置です。

おそらく、組織としての「意思決定」には
参加してもらいたくない、というのが本音のはずです。

年金の壁

管理職まで勤めた方です。

残りの人生を、
もっと自分を発揮できる場で使ってほしい、
と私は思うのです。

ということで、私は継続雇用や再雇用はおすすめしていません。

私は、すでに10年以上も前に、「60歳で退職するぞ」と決めていました。

60歳を機に、セカンドキャリアに挑戦したかったからです。

教育の仕事は大好きでしたし、私にとっては天職でもありました。

ただ、私の中には、
「自分の力で稼いでみたい」という気持ちがどこかにあったのです。

ですので、60歳から後の第二の人生では、
教職とはまったく違うセカンドキャリアで頑張ってみたいと思っていたのです。

しかし、そこには大きな壁がありました。

それは年金です。

60歳で退職し、年金もいただければ、
生活の心配をせずにセカンドキャリアに挑戦することができるでしょう。

しかしながら、年金がもらえるのは基本的には65歳からなのです。

ということは、60歳で退職した場合に、
65歳までの間「無収入」ということになります。

繰り上げて、給付を受けることもできるのですが、
これも私はおすすめしていません。

その理由については、
ここで詳しく話すことはしませんが、
私としてはむしろ繰り下げをおすすめしているくらいです。

それは置いておいて、話を進めます。

セカンドキャリアに挑戦し、
すぐに収入が得られるならこの心配はありませんが、
それほど甘くはないはずです。

なので、60歳から65歳までの間を、
どうにかしのぐための生活資金を蓄えておく必要があるのです。

私は60歳で退職することを、
だいぶ前に決めていたので、
この5年間を何とか生活できるくらいの資産は作ってきました。

ですので、今、思い切ってセカンドキャリアに挑戦することができているのです。

私は、教職員の皆さんに、
積極的にセカンドキャリアに挑戦してもらいたいと思っています。

「黄金の5年間」

私がすすめるセカンドキャリアとは、
必ずしも再就職したり、起業したりということだけではありません。

自分の趣味をとことん追求していくことも、
セカンドキャリアと考えています。

たとえば、世界一周旅行をする。

ゴルフの大会に出場したい。

今まで研究してきた教育実践や、研究論文を本にしたい。

絵画に挑戦したい。

こういったことも、セカンドキャリアだと捉えています。

拙著「教師を資産をつくれ!」にも、
詳しく書かせていただいていますが、
私は、60歳から65歳までを「黄金の5年間」と表現しています。

60歳から65歳までの間は、
現役生活からあまり遠くない直近の5年間です。

おそらく、ほとんどの方が、
現役時代並みの体力、気力がキープされているはずです。

私たちが若かった頃の、定年退職者のイメージとは違うはずです。

50年前の60歳と比べると、今の60歳は、
体力、気力ともに、20歳ほど若くなっているという研究もあります。

なので、この「黄金の5年間」を、
現役時代の延長という形で過ごすよりも、
自分の新たな才能や好きなことに使ってほしいのです。

たとえば、定年の65歳まで継続雇用で働いたとします。

おそらく、長年勤めてきた仕事を繰り返すだけなので、
あまり苦労せずに仕事をこなすことができるでしょう。

そして、65歳で定年退職を迎えます。

その時点から、セカンドキャリアに挑戦するということも可能です。

ただ、多くの先輩方と話すと、60歳で退職した方々とは違い、
65歳の方々は、体力、気力ともに多少減退しているように思います。

ですので、できれば65歳まで、
継続雇用を選択するのではなく、
60歳で退職してセカンドキャリアに挑戦することを選んでほしいと考えています。

で、実際のところ「セカンドキャリア」への挑戦は順調ですか?

とはいっても、実際どうなんだ。

ということですが。

60歳からのセカンドキャリア、そんなに甘くないでしょう。

なんて、考える方々も多いと思います。

その通りです。

私は、この原稿を執筆している9月現在、
まだ、セカンドキャリアの土台作りの段階でかなりもがいています。

とはいえ、新たなことに挑戦していることは、
新鮮な気持ちになれますし、充実感も感じています。

そんな私の今の状況を、今後定期的に発信していければと考えています。

最後までお読みいただきありがとうございます。

よろしければ下記のサイトもご覧ください。

HP「教師よ資産をつくれ」

当社の本「教師よ資産をつくれ!」

当社の本「還暦60歳kindleが叶えてくれた本の出版

note 株式会社グラシア 佐藤 誠

standFM「教師のための資産形成を支援する」

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