知っておきたい「米国債」の魅力とリスク
★アメリカの国債は利回りが高い
アメリカ政府(米国財務省)が発行する債券が「米国債」です。
日本人も購入できます。
日本国債の金利は高くなってきているとはいえ、2026年6月時点で、1.51%~1.86%ほどです。(個人向け国債)
一方、現在の米国債は、4%〜5%程度の利回りが狙える状況にあります。
この米国債が「退職金の運用」として、どうなのかについてお話します。

★米国債には二種類ある
米国債には大きく分けて2つのタイプがあります。
◯利付債
その一つが「利付債」です。
半年ごとに現金で利息が振り込まれるタイプです。
老後の生活費の足しにしたいなど、定期的な利益を得たいという方に適しています。
◯ゼロクーポン債(ストリップス債とも言います)
途中の利息の支払いはありません。
その分、かなり安い価格で購入できます。
利息は再投資されます。
その分、満期に受け取れる額は高くなります。
それなら、みんなゼロクーポン債を買うでしょ。
そう思いますよね。
でもそうはなりません。
利付債もゼロクーポン債にも、それぞれ良さがあるのです。
★利付債を運用してみる
わかりにくいと思うので、事例を見てみましょう。
1,000万円を米国債に投資します。

レートを1ドル=160円。
ドルベースで、62,500ドル。
この基準でシミュレーションしてみます。
ケース① 利付債
まず、利付債(30年・利回り5%)で考えてみます。
投資額62,500ドルなら、年間利息62,500 × 5%= 3,125ドル
円換算3,125 × 160円= 50万円/年となります。
半年ごとに25万円、25万円受け取ります。
月に換算すると41,600円くらいです。

そして、30年間保有した後に元本62,500ドルが返ってきます。
ただし、30年後も1ドルが160円なのかどうかは怪しいところです。
これを為替リスクといいますが、このことについて今回は割愛させていただきます。
★ゼロクーポン債を運用してみる
ケース② ゼロクーポン債
次はゼロクーポン債(30年・利回り5%)です。
同じく1,000万円、62,500ドルを30年間運用します。
30年間利息を受け取りません。
すると30年後には、約270,000ドル、160円で換算すると約4,320万円です。
1,000万円が4倍強に膨れ上がっています。

利息が再投資されるので、複利効果によりリターンが大きくなるのです。
★どちらがお得?
それで、どちらがお得かということですが。
※投資金額1,000万円(62,500ドル)1ドル=160円で換算
期間 30年 利回り5%で試算

この比較からすると、
退職後の日々の生活費に充てたいという方は「利付債」。
将来の「介護」など、将来まとまった資金がほしい方は「クーポン債」といったところでしょうか。
★期間の短い米国債はないのか
とはいえ、
「30年なんて時間はかけていらないよ」

そうですよね。
実は、利付債、ゼロクーポン債にしろ、満期の短いものもあります。
満期1年未満から30年まで幅広く存在します。
これらの話をすると、一冊の本を読むほどに長くなってしまうので、30年物について話した次第です。
しかしながら、すでにシニアの年齢であることを考えると、長期の運用はあまり意味がありません。
では、退職金1,000万円を短期で運用するならどれがよいかを考えてみます。
まず、5年物クーポン債。
1,000万円の退職金を運用するとします。
仮に1ドル160円で換算すると、62,500ドルになります。
それを利率4.2%で運用します。
年間利息62,500 × 4.2%=2,625ドルで、円換算すると年間約42万円となります。
月換算すると35,000円。
これが5年間支払われます。
10年物だと、年間約45万円、月37,500円になります。
そして、5年後、10年後に元本が返ってきます。
★短期のゼロクーポン債はどうなのか
次はゼロクーポン債。
ゼロクーポン債は途中の利払いはありませんので、満期にまとめてもらいます。
5年物で利回り4〜5%なら、5年後には約1,250万円前後になります。
10年物で年5%なら、10年後約1,600万円前後になります。
私ならどうするか。
例えば、
5年物ゼロクーポン債 500万円
10年物利付債 500万円
のように種類と期間を分散します。
どのようなライフプランであっても、同じ債券、同じ期間に集中するのは得策ではありません。
ただし、分散しすぎると、マネジメントが難しくなりますので、その点お気を付けください。
★途中売却の手もあるが、、、
一度買った債券は、途中売却できないのか。
売却できます。
例えば、30年物の米国債を購入して、10年後に売却することは可能です。
むしろ、多くの投資家は満期まで保有せず途中で売却しています。
ただし、ここで重要なのは、
「元本が保証されているのは満期まで保有した場合だけ」
つまり元本を割るリスクがあるということです。

例えば、 30年米国債、利率5%、投資額1,000万円、為替1ドル160円とします。
10年後には、その債券は「残存期間20年の米国債」として市場で売却されます。
その時の価格は、その時の金利によって決まります。
10年後、新発20年債の利率が3%になったとします。
すると、市場では
「5%も利息がもらえる債券は魅力的」
となり価格が上昇します。
100ドルで買った債券が、130ドルくらいで売れることもあります。
逆に、金利が上がった場合はどうなるのか。
10年後、新発20年債の利率7%になったとします。
すると、市場では
「5%しかもらえない債券は魅力が低い」
となります。
その結果、100ドルで買った債券が80ドル程度まで下落することもあります。
ということは、途中売却によって「元本」を割ってしまう可能性があるということです。
これは日本の国債でも同じです。
こうなると、個別株の投資と同じになってしまい、安心安全とは言えませんよね。
日本の国債も、米国債も、購入するなら満期まで持ち続けることがベターだと思います。
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