年間7万円以上払った生命保険料に対して、戻ってくるのは6~7,000円くらい

★生命保険料控除の目的

よく、保険の勧誘をする方に、
生命保険料控除が使えるので、節税できますよ
みたいに言われることがありますが、
実際どうなんでしょうか。

結論から言いますと、節税効果はほとんどありません。

12月ごろに、年末調整を書いて提出すると、
年度末に税金が戻ってきて給料が
少し増えてラッキーって思ったことのある人は多いと思います。

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しかし、年末調整の生命保険料控除で、
実際に税金はどれくらい
戻ってきているのかを知っている人は少ないと思います。

なので、生命保険料控除がどのように
計算されているのか、
事例を交えながらお話ししていきます。

そもそも、生命保険料控除の
目的はといいますと、
生命保険料を払っている人は、
年金とか健康保険など
国の社会保障だけに頼らず自助努力をしている人である。

なので、そういった国民に対しては、
少し税金を優遇してあげましょうよっていう制度だと思っていてください。

★そもそも控除とは

あと、控除という言葉を
よく聞くと思いますが、
実際、よくわかっていない人も
多いかと思いますので少し説明します。

控除とは税金を安くする仕組みのことです。

私は、よく控除のことを
「割引」って表現しています。

実は、この割引、意外と多くあります。

まず、「給与所得控除」
「所得控除」という割引があります。

これらの割引分を差し引いた額のことを、
「課税所得」といって、
この課税所得の額によって税金が決まるのです。

たとえば、この方、年収が①6,835,000円です。

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源泉徴収の「給与所得控除後」の欄を見ると、
②4,951,000円となっています。

さらに、「所得控除」が
③2,292,254円となっていますので、
その額を差し引くと課税所得がわかります。

②4,951,000円‐③2,292,254円⁼2,660,000円

この方の課税所得は、2,660,000円となります。

ちなみに、この割引の役割を
果たしている「控除」には、
配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、
医療費控除などがあって
、生命保険料控除もその一つなんです。

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なので、「控除」という割引を
利用しない手はありません。

多く割引できれば、
つまり「控除」できれば、
課税される所得が下がるので
、結果的に支払う税金が下がるということです。

★生命保険料控除の計算方法

では、生命保険料控除の計算方法を見ていきます。

まず、ご存じだと思いますが、
生命保険には旧制度と
新制度というのがあって、
その保険を契約した年によって計算式が異なります。

今回は、新制度のみで計算してみます。
新制度の保険には、
一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、
個人年金保険料控除の3つがあって、
その種類によって控除の限度額が違います。

仮に保険料が全部で、
12万円控除できるとしましょう。

その場合、所得税12万円、
住民税が7万円までが控除の上限額
となります。

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ここまでの話を聞くと、
12万円と7万円で19万円が返ってくる。

それっていいじゃん、そう思いますよね。

しかし、そうではありません。

つまり、
12万円が返ってくるわけではありません。

この、12万円、7万円は、
あくまで控除申請できる最高額であって、
返金される控除される額ではないのです。

わかりやすく言うと、
これは「控除の申請限度額」なのです。

正確には、この額に税額をかけた額が、
返ってくる額になります。

たとえば、課税所得が266万円の場合、
所得税、住民税、ともに10%です。

そうすると、12万円と、
7万円にそれぞれ10%をかけると、
12,000円と7,000円で、合計19,000円になります。

しかも、あなたの手元に返ってくる
所得税控除後の12,000円であり、
7,000円は翌年の住民税の
減額になるというからくりとなっています。

12万円の保険で、19,000円の税金の減額。

これでは、節税にはなりません。

とはいえ、わずか12,000円であっても、
控除の申請をしないともったいないよ、
といったところです。

★iDeCoは節税効果はあるのか

では、同じような所得控除が受けられるiDeCoはどうか。

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計算式は同じです。

教職員の場合、
iDeCoの上限額は月2万円ですので、
その額の積み立てで、年間24万円としましょう。

控除は、所得税10%、
住民税10%がそのまま適用されます。

なので、240,000×10%=24,000円
まず、所得税から24,000円が返ってきます。

そして、翌年の住民税が24,000円安くなります。

保険もiDeCoの違いは3つです。

一つは、支出した額が全額控除されるのか、
そうでないかです。

保険の場合は、所得税は12万円、
住民税は7万円を超えた額は申請できません。

iDeCoの場合は、
拠出の上限額があるとはいえ、
教職員の場合、その全額を控除申請できます。

もう一つは、iDeCoの場合、
運用益に対して非課税という点です。

たとえば、24万円を3%で、
20年間運用したら、
ざっくり計算して650万円
ほどになります。

利益がどれくらいかといいますと。

年24万円×20年=480万円
650万円‐480万円=170万円
利益は170万円になります。

通常、その利益に20%の税がかかります。

となると、34万円が税金で引かれます。

しかし、iDeCoならそれが非課税です。

170万円の利益がそのままあなたのものになるのです。

さらには、満期保険金・死亡保険金を
一時金で受け取る場合は、
所得税(一時所得)になります。

一方、iDeCoの場合は、
退職一時金として受け取りますので、
ほとんどといっていいほど税金はかかりません。

まとめますと、生命保険などは、
控除があっても税金に反映される額が少ない上に、
拠出している期間の運用益もあまり見込めません。

さらに、満期保険金なども
一時所得として税金がかかります。

iDeCoの場合は、積み立てる場合にも
控除が受けられて、利益が出ても非課税、
積み立てた拠出金を
全額受け取ってもほとんど税金がかかりません。

このことからわかるように、
生命保険はほとんど節税にはならないので、
あまり高額の保険料を払い続けるのは避けたい。

節税効果をねらうなら、
iDeCoの方がずっとお得ということです。

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