教職員ライフプランから考える住宅購入

FPの学習では、「ライフプランニング」という分野があります。

この学習をすることで、人生を可視化し、
適切なマネーマネジメントについて考えることができます。

そして、ライフプランニングで
最も大きなイベントというと、「住宅購入」でしょう。

教職員として採用されて、
仕事が安定してきたら、
そろそろマイホームを」と考える方は多いと思います。

でも、その前に少しだけ立ち止まってみてほしいのです。

まずは、マイホームの購入を
決める前に、以下のことについて考えてみましょう。

Question1 持ち家は将来的に「資産になる」というのは本当か

Answer

持ち家が必ずしも資産になるとは限りません。

まず、「資産」の意味合いが
いろいろだと思いますが、
将来的に価値が高くなっていくこととしましょう。

ということは、持ち家が、
購入した時の価格よりも高くなっている必要があります。

では、どのような持ち家が資産となっていくのでしょうか。

そのためには、以下のような条件が必要です。

〇便利な交通アクセスの立地

駅やバス停、主要道路への
アクセスが良い物件は価値が高まりやすいです。

とくに、駅から近いことは大きなポイントです。

〇利便性の高いエリア

ショッピングセンターや公園、学校、
医療施設が近くにある場所は、
生活の利便性が高いとされ人気が集まりやすいです。


〇建物の質

耐震性や断熱性など、
建物自体の耐久性や居住性が
優れている物件は価値を維持しやすいです。

とくに、日本では地震に強い設計や素材が重要視されています。

〇適切なメンテナンス状況

 管理が行き届いたマンションは、
長期間にわたり価値を維持しやすいです。

戸建ての場合も、適切なメンテナンスで、
築年数が経っても物件の価値を保つことができます。

〇人口が増加しているエリア

都市や地域は、不動産の需要が高まりやすく、
価値の上昇が期待できます。

逆に、人口減少や高齢化が
進んでいる地域では価値が下がる可能性があります。

これらの条件に合致していれば、
持ち家は将来的に「資産」になる可能性が高いといえます。

ということは、それ以外の持ち家は
資産といえるほどのものには
ならないと考えた方がいいでしょう。

Question2 住宅ローンが借金になってしまうというケースとはどのような場合ですか

Answer

持ち家が資産どころか、
借金を生んでしまうケースもあります。

ある事例ですが、土地が安いからと、
利便性が良いとはいえない立地を選んで、
家を建てた方がいました。

その後、転勤が決まったので
家を売却しようとしましたが、なかなか買い手がつきません。

最終的には、購入費用の半額近くまで落として売却しました。

当然ながら、ローンの残額が借金となってしまったのです。


売らないで、賃貸に出すことも考えたようですが、
戸建ては賃料も高いうえに、
利便性の悪さもあって借り手はつかなかったとのこと。

この事例からもわかるように、
当初は「一生住む」と決めていても、
人生なにがあるかわかりません

転勤や異動以外にも、
離婚、騒音問題、近隣住民とのトラブル、家族構成の変化。

親の介護が必要になり、
親の家に近い場所に引っ越す必要になった。

仕事の悩みや、病気などにより中途退職し、
住宅ローンの返済が困難になった。

いかがでしょうか。

あまり考えたくはない事例ではありますが、
こういったケースは少なくないのです。

この場合、ローン返済が済んでいなくて、
自宅も売却できない場合はローンが借金になってしまいます。

Question3 将来の中古物件が増えてくると、持ち家の価値は下がるのでしょうか。

Answer

当然です。

物件が豊富にあれば、個々の価格は下がります

ということは、日本で将来、
中古物件の数はどうなっていくかが知りたいですよね。

結論から言いますと、
中古住宅の需要は増加傾向にあり、
今後も中古物件は拡大基調で推移すると予想されています。

矢野経済研究所は、
国内の中古住宅買取再販市場の
市場規模が、2030年には2022年比で22.0%増の5万戸になると予測しています。

中古住宅の成約数が
年々増加している理由としては、次のようなことが挙げられます。

◆団塊の世代が所有する不動産の相続が本格化する。

◆子供世代が相続した不動産をそのまま利用しないケースが増加。

◆相続税対策やライフスタイルの変化に伴い、売却を検討する人が増える。

◆介護施設への入所や、子供との同居など、住み替えを検討する人が増えている。

◆単身世帯化が進み、広すぎる住宅を手放す人が増えている。

◆少子化により、住宅の需要が減少

こういったことから、
持ち家の将来的な価値は全般的に
落ちていくと考えるのが一般的な傾向だと考えていいでしょう。

もっと大胆に言わせていただくなら、
「資産」にならないのなら、マイホームを持たないくらいの判断が必要です。

Question4 教職員が住宅購入する際のベストプランはありますか。

Answer

あります。

個別具体の対応になりますが、
そもそも教職員は賃貸であれば「住居手当」が支給されるという優位性があります。

自治体によって異なりますが、
賃貸であれば、平均27,000円ほどの住居手当が支給されます。

これをいただかない手はありません。

なので、賃貸で安く住み、
その間NISAやiDeCoで資産形成をしておきます。

家族やお子さんがいる場合は、
そのスケールに合わせて賃貸住宅を住み替えていきます。

そして、退職前後に、「終の棲家」として、
適正規模の中古住宅を、
積み上げておいた資産を活用し現金で購入します。

その際、将来、介護生活になった場合のことも
加味し、シミュレーションを行い、リフォームするのです。


この提案に異論もあるかと思いますし、
必ずしもベストでないことは承知しています。

しかし、このことを念頭におきながら
できるだけベターで幸せな人生設計を考えてほしいと思っています。

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