伸びる教師の共通点2 ~「振り返り」を継続している~
「振り返り」を続けると
前回のブログで、
伸びる教師は「常に『まだまだ』だと考える、
というお話をしました。
では、どうしたら
常に自分は「まだまだ」だと
思える人になれるのでしょうか。
それはもともとの性格だから
後天的に育てることは無理だ、
とおっしゃる方もいるかもしれません。
しかし、これも多くの
教師たちを見ていると、
もともとの性格というよりも
明らかにある「習慣」がその力を育てていることがわかります。
その習慣とは「振り返り」です。
多くの優れた教師たちは、
常に自身の実践を振り返っています。
学級経営、授業、部活動など、
うまくいった点については、
できるだけいつでも再現できるよう言語化します。
課題点についても、
なぜうまくいかなかったのかを
分析するとともに改良を加えて再度実践しているのです。
校長として毎日授業観察をしていましたが、
優れた先生方からは、その試行錯誤がよく見えました。
「振り返り」の方法は、記録したり、
メモをしたり、だれかに話したりと
さまざまですが、
伸びる教師はなんらかの形で自身の実践を振り返っているのです。
この振り返りの習慣が継続されると、
10年を待たずして、かなりの実力がついてくるはずです。
教育界以外でも「振り返り」が人を育てている
教育界のみならず、
「振り返り」の習慣はすべての分野において有効です。
たとえば、マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ。
ゲイツ氏は、常に新しい知識を
求めて読書や学習を続け、
彼の書斎には、膨大な数の書籍が置かれていることが知られています。
ビル・ゲイツ氏が特筆されるのは、
その「振り返り」の徹底です。
たとえば、ゲイツ氏は、
マイクロソフトを創業する前に、
交通情報システムに関する会社を
立ち上げましたが、成功しませんでした。
このことについて、ゲイツ氏は、
市場のニーズを的確に捉えることの重要性、
そしてビジネスモデルの構築の難しさを学んだと振り返っています。
また、マイクロソフトは初期の
インターネット関連のビジネスで苦戦しました。
この経験は、新しい技術への対応が遅れると、
企業の存亡を左右する事態にも
なりかねないと振り返っており、
その後、インターネット関連の事業に力を入れるようになったといいます。
元プロ野球選手で
監督としても活躍された故野村克也氏も、
選手時代から50年にわたって振り返りの記録をしていました。
それが「野村メモ」「野村ノート」として
多くの選手らにコピーされ
伝説のノートとして語り継がれていったのです。
体も大きいわけでなく、
天賦の才があったわけでもない平凡な選手が、
戦後初の三冠王を獲得できたのは、
地道な「振り返り」の習慣があったからなのです。
このように「振り返り」には、
自分の強みや弱みを客観的に把握でき、
自己理解を深めることができます。
また、問題解決能力を高めるとともに、
新しいアイデアを生み出す
きっかけとなり、創造性を育みます。
そして何よりも、
目標との現在位置とのギャップを
明確にし、改善策を立てることで、
目標達成を促進することができます。
ある教師のある日の「振り返り」
以下にある教師の、
ある日の授業の「振り返り」を紹介します。
参考にしてください。
「今日の数学の授業は、
生徒の集中力が途切れてしまい、
予定していた内容を全て消化しきれなかった。なぜだろう?」
「導入のゲーム形式は盛り上がったものの、
問題演習に入った途端、生徒たちの目がぼんやりし始めた」
「導入、展開、まとめ、振り返り、
という基本的な流れではあったものの、
説明の時間が長くなってしまった」
「明らかに、
途中から生徒が主体的に学ぶ時間が不足していた」
「問題の難易度も、
一部の生徒にとっては易しすぎて、
退屈させてしまったことも、授業全体に『ダルさ』をもたらしてしまった」
「もっと言えば、説明の際に、
教科書ばかりに目が行ってしまい、
生徒の反応を見ていない
時間が多かったし、理解の状況を確認する機会も少なかった」
「明日の授業は、まず、
今日よりもグループワークなどで、
生徒同士で考えを交換する機会を増やす」
「さらに、習熟度に応じた問題を用意し、
生徒一人ひとりが達成感を味わえるようにする」
「生徒の反応をこまめに確認し、
的確にフィードバックを返してあげたい」
いかがでしょうか。
これは、ある初任3年目の
中学校の先生の「振り返り記録」を少しアレンジした内容です。
内容的には、
技術的な部分にしか「振り返り」の視点が
当てられていませんが、
3年目であり、
今後のことを考えると、かなり伸びしろがある先生だと思います。
苦しさも伴う「振り返り」
とはいえ、教師はその多忙さゆえに、
毎日が目まぐるしく過ぎさっていきます。
仕事が終わったあとくたくたになっている中、
「振り返る」という作業はかなりの苦痛をともなうでしょう。
忙しさは「作業興奮」の
作用をもたらすので、
なんとなく充実感、達成感をもたらしてくれます。
そんな中で、
「反省的」な作業にも見える
「振り返り」を積極的に
やりたいとは思わないという気持ちも理解できます。
しかし、この習慣は
セカンドキャリアを
充実させていく過程においても、大きな武器になります。
ですので、現役の間にどうにか工夫して、
「振り返り」の習慣を生活の中に
組み込んでもらいたいと思います。
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