伸びる教師の共通点1 ~つねに自分は「まだまだだ」と思っている~

この章では、伸びる教師の共通点を取り上げてみます。

「セカンドキャリア」に成功するために、
そしてその準備としての「資産形成」を進める上で、
現役時代に自己成長を最大化しておくことが大切なことは、前述したとおりです。

では、どうすれば教師としての力を向上させられるのでしょうか。

そのことについて、まずは、
「伸びる教師の共通点」から考えてみましょう。

私は、伸びる教師の共通点は以下の3つだと考えています。

〇つねに自分は「まだまだだ」と思っている

〇忙しい中でも「振り返り」を継続している

〇新たなチャレンジをし続けている

「なんだそんなこと?」
なんて言われてしまいそうなほど、当たり前のことばかりですよね。

「他の職業でも同じことが
いえるんじゃないの?」と思った方もいると思います。

そのとおりです。

伸びる人の特徴というのは、
すべての業種で共通しているのです。

30年以上教師をやってきて、
そして指導主事、管理職として
多くの教師たちに関わってきた私の経験からもそう断言できます。

今回は、つねに自分は「まだまだだ」と思っているについて解説します。

直後に語る「課題」

いつも感心するのですが、
伸びる教師は研究授業後、
すでに課題点、今後の修正点について分析していますよね。

ほとんどの教師が、緊張感もあいまって、
ほとんど我を見失ってしまっているのに比べ、

この分析力は卓越しています。

よくそんなに自分の課題点について
語れるなと、感心するとともに、
もう少し自分のことを
肯定してあげてもいいのに、なんて思うことさえあります。

つねに自分は「まだまだ」だと
思っているので、
うまくいったことよりも先に「課題点」の方に目が向いてしまうのです。

よく、スポーツ選手たちが
競技や試合終了後のインタビューで、

自分のパフォーマンスが
いかなるものであったのか、
そして課題はどこにあったのかについて
流暢に語っている姿を目にすることがあると思います。

優れたスポーツ選手を含め、
伸びる人たちは高い目標をもっているからか、

つねに「まだまだ」だと考える意識の方が高く、
満足のいく結果というのはほとんどないわけです。

藤井聡太棋士、驚きの記者会見

アスリートではありませんが、
あの藤井聡太竜王が史上初の
将棋八冠を達成したときの記者会見には驚かされました。

喜びのコメントかと思いきや、
「まだまだ実力が足りないので、
よりいっそう取り組んでいかないといけないと思っています」

反省の弁に近い言葉だったからです。

わずか21歳(当時)の若者の弁とは思えません。

謙遜の気持ちも含まれているのでしょうが、
その表情からは、
本心としか思えないほどの真剣みと決意を感じました。

目標が高いがゆえに、
自己のパフォーマンスになかなか「満足」できない。

「自己肯定感」のもてはやされる現代において、
このことが良いとばかり言えないところもあるかもしれません。

しかし、こと「伸びる人の条件」
という点から見ると、
「自分はまだまだ」と思う意識は必要不可欠だと言わざるをえないのです。

死ぬ間際まで「まだまだ」と言い続けた葛飾北斎

やや飛躍しますが、
平均寿命が40歳程度といわれていた
江戸時代に、90歳まで生きた葛飾北斎

代表作でもある
『富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)』は、
のちにクロード・モネやゴッホ、
ゴーギャンなどに影響を与えたとも言われています。

北斎は、漫画や風刺画、画集、
解剖学の図版など幅広いジャンルに挑み、
この『富嶽三十六景』初編を刊行したのは75歳のときです。

その『富嶽三十六景』初、二編に
記されている北斎の一説が驚きなのです。

それが次の一節です。

「6歳のときから物の形を
模写することに熱中し、
50歳になってからは多くの絵を発表してきたが、
70歳までに描いた絵の中には、考慮に値するものは何もない」。

どうですか。

皆さんはここまで、自己否定できますか。

しかも、北斎は89歳のとき、
最高傑作といわれる
「冬越しの龍」を描いたのち、

90歳になって、
病床で次のような言葉も残しています。

「天があと10年、いや、
あと5年の命をくれたなら、本物の絵師になれる」。

自分のことを、
まだ「本物の絵師」ではない、と断じているのです。

90歳でそんなこと言いますか。

もう、神の領域ですよね。

ダニング=クルーガー効果

皆さんも北斎のように
なってほしい、と言いたいわけではありません。

ただ、教育界には数十年くらいの実践で、
鼻を高くしてしまう教師が少なからずいます。

Dunning-Kruger効果(ダニング=クルーガー効果)について、聞いたことはありますか。

これは、能力の低い人が
自分の能力を過大評価し、

逆に能力の高い人は
自己評価が控えめになる傾向を
示すという効果のことです。

つまり、自分の力を
鼻にかけている教師は、
本当のところは力量がない教師とも言えるのです。

そして、プライドが高いがゆえに、
自分の実際の力を正しく把握できず、
その結果成長が止まってしまう傾向があるということです。

才能や力がある人が成長を続けるためには、
謙虚さや「まだまだ」が重要であることを示唆しています。

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