学ばない組織の下、成長しなくなる教師、組織がどうあれ自己成長していく教師
★すごい素質の教師が・・
今回は、学ばない組織にいると能力の高い人でも、平凡になっていくという話。
そして、周りがどうであれ、
「変わりたい」と強く思い、努力する教師は伸びる、というお話をします。
まず、組織が個人をダメにしてしまったケースです。
私が指導主事のころ、
ある中学校で初任者の研究授業を見たのですが、
全身に戦慄が走るほど感動したことがありました。
子どもたちに安心感を持たせるやわらかい表情。
子どもたちの正当論を揺さぶる洗練された発問。
1年目だとは思えないその風格と将来性に、妬みすら感じました。
とにかく今後の成長が楽しみな人材でした。

★学びの文化のない組織
ところが、ある機会に、
その先生の授業を、10年ぶりに参観させていただいた時にショックを受けました。
もう、あの初任者のころのような溌剌さはなくなり、
授業も生徒がどんよりとするような、単調なものになってしまっていたのです。

聞くところによると、
あまり研究に熱の入らない学校に勤めていて、
刺激がない10年間を過ごしてしまったとのことでした。
ときに、新たな授業改善に取り組もうと、
組織全体に呼びかけた教師もいたようですが、
管理職をはじめ、だれも動かなかったようです。
このような組織に浸かって、
しかも10年という月日を過ごしてしまうと、いくら能力が高い人でもそれ以上伸びません。
いや、伸びないどころか、力が落ちていきます。
どのような組織で過ごしたかは大きいのです。
これは教師に限ったことではありません。
組織のせいにはしたくありませんが、
良くも悪くも、人は組織の雰囲気に影響されるのです。
学ぶことはかっこいい!と考える組織の雰囲気の中では、人は自然に学ぶようになり成長します。
「なにまじめに授業論語ってんだよ」

なんて揶揄されるような組織に属しているのとでは、
その後の教師の成長は大きく違ってきます。
★学級崩壊
別の事例ですが、
これも私が指導主事をしている時のことです。
ある小学校に臨時的任用教諭として勤めている先生がいました。
校長先生に「授業を見てくれと」とお願いされ、
授業を見に行きました。
いやあ、悲惨でした。
典型的な「学級崩壊」でした。

だれも授業を聞かない。
小学生にして、先生に対してため口。
私が授業を見にきていていることを知っていても、やりたい放題。
すでに不登校になってしまった子どもも数人いて、学級としては末期症状。
授業終了後、私はこの先生に聞きました。
私「夜眠れている?」
先生「ときどき眠れません」
私「お休みすることは可能だよ」
先生「みんなに迷惑をかけちゃいます」
私「そんなことないよ。だれだって苦しい時はあるよ。
休んでもあなたの履歴にキズはつかないから、安心して休みなさい」
そう私に言われて、ほっとしたのか、
泣き出して、
「ありがとうございます」と細い声でつぶやきました。
臨任教諭に休みなんてありません。
事実上の途中退職となりました。
その後その学級には
ベテランの臨任教諭が配置され、
ものの一週間で平静を取り戻しました。
★光る授業
それから、数年後、
ある学校を訪問して全教室を回りましたが、正直、あまりパッとしない授業ばかりでした。
しかし、ある学級だけ、とくに光るものを感じたのです。
子どもたちが生き生きと発言し、
言いたいことを言っても、
互いを支え合う雰囲気があり、何のわだかまりも残りません。
素晴らしい学級経営。

その担任の先生の顔を見て驚きました。
なんと、あの「学級崩壊」の先生だったのです。
涙が出そうになりました。
校長先生にお願いして、授業後にその先生と話をさせてもらいました。
彼は、あの後、再起を誓い、
教員試験にも合格し、とにかく徹底的に学び続けたといいます。
いいセミナーや研修があると聞けば、自費でも参加する。
いい本があれば買って読み漁る。
いい先生がいると聞けば、自ら赴いて話を聞きに行ったそうです。
校内でも、自主的に授業を見てもらい、参観者から課題点を聞きだしていたとのこと。
話の中で印象に残ったのは、徐々に力量がついてきて、教師としてやっていけるのではと思い始めてはいるものの、まだ自信はない、との言葉でした。
ああ、この人はさらに伸びるな。
そう思いましたし、「人は変われる!」そう思わせてくれた先生でした。
★教師はアスリート
教師は、ある意味アスリートと同じ、というのが私の持論です。

トレーニングを怠ると、
実力を伸ばすどころか、維持することも難しいのです。
スポーツ選手は数値が、指標として機能しているので、自身の力の低下を認識できます。
しかし、教師はその力を測る指標がない上に、
長い時間をかけて変化するため、力の低下にも気づきにくいのです。
もし経験の長さだけが、
実力と相関するというのなら、40代、50代の教師が学級を荒れさせたり、
「あの先生の授業は眠くなる」なんてことを生徒から言われたりすることはないはずです。
ですので、校長時代には職員に対して
「学び続けることの大切さ」を繰り返し語っていました。
ただ、学び続けることは簡単ではありません。
努力を継続するにも工夫が必要です。
それも学ぶのです。
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